情報共有とコミュニケーション(4)ーツールを選ぶポイント

道具箱を前に、どの道具を選ぶか考えている人

こんにちは、合同会社たいがの小西です。

前回は情報共有やコミュニケーションの活性化のための重要なポイントをお話しました。
今回は、それを踏まえた上で「では、どんなツールが必要か?」を考えてみたいと思います。

なお、ツール(道具)と言う言葉を使うのは理由があります。
この道具はいわゆるITでありソフトウェアなのですが、それがたとえ最先端のAIであったとしても「目的を達成するための手段に過ぎない」からです。

経営における目的とは「業績の向上や安定した事業の継続」であり、そのための手段はいろいろあります。ITはその手段の一つでしかありません。

もちろん、現代ではITは重要な道具の一つで、他の道具と同じく、その道具選びは慎重に行うべきですが「道具に振り回されない=身の丈に合った道具を選ぶ」「使って、ナンボ」であることを、改めて強調しておきたいと思います。

情報が、どこからでも見れること

前回、重要なポイントとして「必要な情報が、いつでも誰もが見れる状態であること」と申し上げました。

「いつでも誰もが」の中には、社内にいることの多い事務職だけでなく、外回りの多い営業職や、配送担当者、更には工場や工事現場などで働く従業員の方も含みます。つまり「現場で働く方々」です。介護職の方々などもそうですね。

現場で働く人たちも、互いに連絡を取り合ったり、情報を共有したり、また、分からないことは調べたりする必要があります。つまり「リモートでも使える必要がある」ということです。

また、働き方や職場環境にもよりますが、現場にパソコンを据え置けない、あるいは、大きすぎて(重すぎて)持ち運べないなどの制約もあるでしょう。そうなればタブレットやスマホなどでも見ることができる、つまり「モバイルでも使える必要がある」ということです。

言うまでもなく、これらの要求の前提は「情報が、電子データの形で保存されている」です。
(私の若い頃は、必要な情報をコピーして持ち歩きましたが、現場ではかさばりますし、第一、どんな情報が必要になるかは、状況によって変わってきますから、役に立たなかったことがしばしばありました。さすがになくして情報流出は、幸運なことにありませんでしたが)

情報が、見つけられやすいこと

情報が保管されていたとしても、それがどこにあるのか分からなければ、役に立ちません。

ところが…これはソフトウェアの作りもさることながら、
「情報をどのように整理・分類するか?」 という、整理術の問題でもあり「こうすべき」という決定打はありませんし、話せばあまりに長くなるので、ここでは触れません。

(標準的な情報の分類は「フォルダ」(これは紙時代のフォルダ(バインダ)と同じく、同種の情報を一つにまとめるもの)ですが、これも徹底的な管理をしない限り、「経理」フォルダに営業用資料が混ざったり…などが発生します。これは、多くの人が使えば使えば使うほど起こりえます。)

その上で、言えることは
導線を明確にする
検索機能を有する
が重要だと思っています。

たとえばWebサイトのYahoo! Japanなどはホーム画面に入ると、メールや天気、ニュース、ショッピングなどいろんな表示(リンク)があり、ユーザは自分が何をしたいかに応じて、該当リンクをクリックする仕組みになっていますが、それが「導線」です。これは特に、あまり慣れていない人にとっては有益でしょう。まあ、今はスマホやタブレットに慣れているので、アイコンでも十分かもしれません。

また、検索機能も重要です。整理術や保管のルールはある程度必要ですが、限界があります。それにルールをガチガチにした結果、ユーザが「めんどくさいので使わない」となれば本末転倒です(そして、これも「しばしば、あるある」です)。

Web検索は皆さんも日常で使っているので使うことに違和感はないでしょう。それと同様にキーワードで検索をかけると、社内情報を横断して検索し、候補として表示する機能があれば、必要な情報にたどり着きやすいはずです。

コミュニケーションの手段が複数あること

これは前回の記事「ポイント2:コミュニケーションの手段が複数あること」でもご説明しましたので、割愛いたします。

いろんな形態の情報を保存できること

これも前回の記事で申し上げました。要は「文書」だけでなく、「図や絵」(イメージ)、「音声」「動画」など、様々な形態で情報が保存できると、情報が分かりやすく伝わる、また、情報の出し手も、出しやすい(練った文章を作るより、音声を録音しそれを渡した方が労力がかからない)などのメリットがあり「より使われやすく」に貢献します。

「自由度(汎用性)」があること

私は中堅・中小企業さまにおいては、これが情報共有・コミュニケーション活性化の道具選びの重要な選定ポイントだと思っていますが、その前に、まずは「自由度がある」という言葉の意味を説明しなければなりません。

「自由度」とは:経理ソフトとの比較

世の中には、業種や業務に特化したソフトウェアがあります。「経理ソフト」はその代表格です。
このソフトに要求される第一は「計算を間違えないこと」これはもう、当たり前ですが、次には「制度改正等に対応できること」ー消費税額などはその代表例で、そのために皆さまは高い?保守費を払っています(もちろん、不具合の解消や機能追加なども保守費に含みますが)。

その次に「いろんな帳簿入力方式がある」「減価償却が計算できる」「消費税計算書が作成できる」さらにはe-Tax,elTaxなどと連携できる等々の機能がありますが、これら機能も「経理として法律等で定められた方式に基づく仕事」をそのソフトウェアでどこまで実現できるか、ということです。

一方、「情報共有」や「コミュニケーション活性化」には、そのような定められた方式などはない、というよりむしろ、それは会社や仕事のやり方によって異なると私は思っています。

たとえば私が前回例を出した、社内規約の作成担当者であった場合、校閲担当者と、文章の趣旨や意図を伝えるためのコミュニケーションは原則チャットで行いますが、チャットでは意図が伝わりにくい、誤解が生じるなどの懸念があると判断すれば、電話、あるいは、文章を共有して確認できるビデオチャットも行うかもしれません。

また、ソフトウェアには期日管理機能(タスク管理機能)がありますが、あまり使い方に慣れていない、あるいは、使い勝手が悪いと判断した場合には、表計算ソフトにスケジュールを書き込み、関係者と共有し、各期日を管理するかもしれません。
(「それは、表計算ソフトの本来の使い方とは違う!」などは言わないでくださいね😉)

また、文書作成にしても、草稿の段階では文書作成ソフトを使わず、まずは見出しや概要だけを書いて校閲担当者とすり合わせを行い、それが確定してから文書作成ソフトで文章作成に取り掛かる、などの選択を行うかもしれません。

何が言いたいか? 情報共有やコミュニケーションにおいては、仕事の内容や、相手に合わせたコミュニケーションを取る必要があるため「手段としての自由度が必要」ということです。この自由度は、様々な用途で使えると言う「汎用性」でもあります。

スモールスタートで始める

文章校閲に関しては「校閲のためのソフトウェア」があります。これは文章作成者と校閲者、承認者など関係者をソフトウェアに登録し、そこで稟議や申請のような「却下/承認(代理承認)/保留/」などのプロセス(これらは一般に「ワークフロー(システム)」と呼ばれる)を備え、かつ、AIによって文章を校閲するなどの高い機能を備えています。

しかし、当たり前ですが、文書作成や出版・印刷を生業としていない会社では、このようなソフトは当然必要ないでしょう。初期導入費用も保守費用も高いですし。

この種のワークフローソフトウェアは業務・業種を問わずたくさんあります。代表的なものでは商談・営業活動を管理する営業管理システム(SFA)や、製造業向けの工程管理システム、あるいは医療・介護業界向けのワークフローシステム等々。

そして、このワークフローシステムも「一つの仕事を複数人で行う協働」のためですから、情報共有やコミュニケーションのソフトウェアでもあります。要は、それぞれの業務や業種に特化した情報共有・コミュニケーションのソフトウェアだということです。

しかし…肝心なことは 「それが、自社の仕事の流れや、やり方=ワークフローに適っているか?」 です。

そもそも、ワークフローが自社の規定等で記録化されていない場合は「ソフトウェアが規定するワークフローが、自社に適っているか?」は判断できませんし、ソフトウェアのマニュアルや営業の説明、あるいはお試し期間で全体を判断するのは難しいです。

なので、実際に導入したら「自社に合っていなかった」とか「使いこなせなかった」などの不満が出ることが多いのです。私は、企業規模を問わず、このようなケースもたくさん見てきました。

であれば…まずは汎用性ある小道具を組み合わせて効率化を行い、どうしてもそれだけでは効果・効率が上がらないと判断した時に、改めてワークフローシステムを検討する方が、費用対効果/投資対効果においても賢明ですし、失敗も少ないと思います。

私たちはこれを「スモールスタート」アプローチと呼んでいます。そして、中堅・中小企業さまにおいては、このアプローチがベターだと考えます。

その意味で、自由度が高く汎用性ある小道具(機能)は、多いほうがよいと思います。そして、まずはそれら小道具の組み合わせで仕事の効率化や効果の増大を図ってみる。メーカーにもよりますが、いくつかの情報共有・コミュニケーションソフトウェアの中には、自分で必要な機能を、簡単に作成できるものもありますから。

まとめ

社内の情報共有化、コミュニケーション活性化のためのツール選びの基本について書きました。
もちろん、実際のソフトウェア選択では、具体的な機能の中身や、使い勝手、そしてセキュリティについて検討する必要があります。従って、ここに述べたことは基本事項であるとご理解ください。

私がこの記事で最もお伝えしたかったのは最後のポイントである「自由度と汎用性」、そして「スモールスタート」です。

特に「スモールスタート」はITに限らず、マーケティングや広告宣伝(プロモーション)等経営一般にも適用できる考え方です(これは、またの機会に項を改めてお話しします)。

それでは、次回はこれを踏まえ、弊社が情報共有・コミュニケーション活性化のツールとしてMicrosoft365をおすすめする理由をお話しさせて頂きます。

次回もよろしくお願い申し上げます。