社内コミュニケーション活性化-"-グループウェア"というITの活用

こんにちは。合同会社たいがの小西です。
令和を迎えました。皆様は、いかがお過ごしのことでしょうか。

私は上皇、そして今上天皇陛下が仰られた「象徴としての責務」というお言葉に本当に深い感銘を受けました。
憲法に記載された「象徴」という、理解の難しいお言葉を、憲法の文脈と社会情勢に照らしてお考えになったうえで、まさに責務を全うされた、そして、それを継承して全うされようとする強い意志を感じたからです。

その意味で、これからも「我が国の象徴として」国民を温かく見守って頂きたいと思います。

テーマに戻ります。
前回では、着手すべきこととして、以下の2点が明確になりました。
  1. [課題1]については、まずはマニュアルやQ&Aの整備を行う。そこで大事なことは、「関係者が見れること」「業務変更に応じて修正すること」「修正した経緯・履歴が判ること」(これが残っていれば「なぜ、このように仕事を進めるのか」が、新人でも読めばわかる)
  2. [課題2]については、まずは記録を残すこと。その記録には「誰から誰に」「いつ」「どのお客様の、どの売り上げ明細について」「状況がどうなっているか」「いつまでに解決すべきか(期日)」が明確化されていること。そして、期日や売上高などに応じ、優先して対応すべき情報が、経理-営業間で共有されていること。
そこで、上記を実現するための道具としてのITの登場です。このテーマの最初に書いた「グループウェア」が、これら課題を解決するための道具として相応しいと考えます。
何故なら、その定義通り
"グループウェア(Groupware または Collaborative software)とは、企業など組織内のコンピュータネットワークを活用した情報共有のためのシステムソフトウェアである"
だからです。

グループウェアには、以下の機能があります。再度引用すると
  • 電子メール機能  
  • 電子掲示板(BBS)機能
  • ライブラリ機能(ドキュメント共有機能)きる
  • スケジュール管理機能 
  • ワークフローシステム(電子決裁)機能 
  • 会議室予約(設備予約)機能
  • ファイル共有機能 
さて、まず[課題1]を解決するための道具としての機能としては、どれが相応しいでしょうか。

マニュアル=文書を整備し、これをメンバー間で共有するという観点で考えると、必要な機能は「ライブラリ機能」「ファイル共有機能」ですね。
ちなみに、これら2つの機能は、グループウェアにおいては一体化していることが多いです。

[課題1]で求められている要求としては、
  • 関係者が見れること
  • 業務変更に応じて修正すること
  • 修正した経緯・履歴が判ること
でした。従って、上記の3つの要件を満たしている機能が必要だということです。

この「自社の要求に対し、道具としてのITが機能として満たしているか?」を検討する作業ステップが、IT導入において不可欠である「FIT&GAP」というものです。

要は、自社の要求に対し、ITの機能がどれだけ適合(Fit)し、どれだけズレ(Gap)があるかを分析することです。これは、机上で検討するだけでなく、実際に使ってみて、使い勝手を確認するという作業も含まれます。

ちなみに、「実際に使ってみて、使い勝手を確認する」ことは、昔はそのシステムを一時的に業者から借り受けたり、業者が用意したデモシステムなどを使う必要がありました

しかし、今はクラウドでインターネットに接続することで、容易に確認することができるようになりました。
<これが、FIT&GAPとしてクラウドサービスを利用することのメリットの一つなのですが、これもテーマを改めてご説明します>

話を戻すと、要求その1の「関係者が見れること」は、言い換えれば「関係者以外は見れないこと」です。
これはセキュリティやコンプライアンスという観点から重要です。
改善対象の経理業務は、お金の流れなど、企業にとってセンシティブな情報が含まれます。それが、「経理担当者以外の誰でも見れる」ことになると、情報の流出などのリスクが高まるからです。

そこで、要求その1はもっと具体的に言うと
「経理マニュアルは経理業務担当者だけが見れて、社内の他の業務に携わる社員は見れないこと。かつ、マニュアルを編集(追加・修正)できるのは、経理業務担当者でもその一部だけ」
ということになります。

これをITでは「アクセス権の管理」と言いますが、ライブラリ機能やファイル共有以外に、このアクセス権の管理も必要である、ということになります。

次に「業務変更に応じて修正すること」「修正した経緯・履歴が判ること」ですが、これは、対象の文書=マニュアルに修正や変更した文書の履歴が残る機能があれば対応できますね。

私が導入に携わったOffice365では、その機能も標準で装備されています。
また、間違って修正した場合に、元のバージョンに復元する機能も装備されているので、安心ですね。

加えて、Office365では加筆・修正した文章に対する「承認/却下」という機能があります。
これは文章編集担当がマニュアルの文書を加筆・修正した後、管理者がこの修正を「承認/却下する」という機能であり、先のグループウェアの機能の一つである「ワークフローシステム(電子決裁)機能」に相当します。

もちろん、マニュアルに関し、ここまでの機能が必要でなければ、この機能を使う必要はありません。これは文書の内容の質から要不要を考えればよいのです。

外部に出す文書で、法的な要素も絡む、2重チェックの必要な文書であれば、承認/却下機能は必要かもしれません。一方、内部向けの、それほどチェックを必要としない文書であれば、この機能は不要でしょう。

また、「関係者が見れること」に含意された要求は「知りたい情報を早く見つけられること」もあるかもしれません。
キーワードによる検索ができることに加え、キーワードを設定する機能もあると、検索上便利ですね。そうした機能が装備されているかどうかなども、FIT&GAPの観点の一つになります。

このように、FIT&GAPを実施することで、自社が要求する機能が満たされるかどうかを判断できるとともに、そのシステムが保有する機能から「検討では考えていなかったが、あると便利だな」という更なる具体的要求が生まれるのです。

ただし、ここで一言、言っておかなければならない事柄があります。

「マニュアルに、どんな内容を書くべきか?どのように書けば、新人でも判りやすいか?」については、道具としてのITは教えてくれません。

これはマニュアルを業務の時系列的に書くべきか、それとも、機能別に書くべきかや、文章で書くべきか、図表で表現すべきかなど、文章構成・内容の問題であり、この領域はITの解決すべき領域ではなく、人間の判断や感性、そして経験に委ねられているのです。

<今はAIの発展により、この分野に関してもITが進出しつつある時代ですが、それでもこれからです>

皆様も、経理ソフトのマニュアルなどを見て「何と判りにくいことか・・・」とため息をついたことがおありかもしれませんが(私などはしょっちゅう、マニュアルの分りにくさに苛立っています(苦笑))、ここでのポイントは「ITは道具であって、それ以上でもそれ以下でもない」ということです。

宣伝になりますが、我々の会社のモットーは「IT + αでお客様をご支援する」です。

これは道具としてのITを活用しつつ、先の分りやすいマニュアル作成なども「α」としてご提供させて頂く、それが、お客様の真の業務改善に貢献する、という信念から来ています。ですので、そのような観点でお考えの方は、是非、弊社にご相談くださいませ。

次回は、[課題2]をグループウェアの機能で、どのように解決させていくかについて、お伝えさせて頂きます。

次回もよろしく、お願い申し上げます。