今こそ「標準化」に取り組むべき

こんにちは、合同会社たいがの小西です。

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弊社は、ITコンサルティングの会社ですのでできることは限られていますが、少しでも皆様のお役に立ちたい思いから、無料ご相談をさせて頂きます。

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妻から、「最近のあなたのブログ、ちょっと政治的じゃない?」というお叱りを受けました。(>_<)

私の観点からすれば、
「いや、コロナの話も、情報弱者の話も、政治ではなく、経済のハナシだよ。だって、アホみたいなコロナ報道のせいで振り回されて、経済的・社会的に大変な思いをしている中小企業の方はたくさんいらっしゃる。
だから「その源は何か?」ということで話ししたのに…」
という感じなのですが、それを問うと「政治的」とみなされるようで…

ということで今回は「経営」の話に戻そうかと思いました(笑)

1.3×1.3×1.3 > 1×2×1

私の弟は歯の治療を受けていたのですが、その歯医者さんがコロナに罹り、1か月以上に渡る長期の休業を余儀なくされ、弟は歯の治療が受けられませんでした。

これは医者と言う、高い専門性を持つケースですが、今回のコロナ騒動は、一般の企業においても、管理者、或いはある業務を担当している方などが、病気等により長期の離脱を余儀なくされた場合にどうするか?という課題を突き付けた、ともいえます。

こうした課題は経営者の方においては「ちゃんと考えないといけないな…」と思いつつも、ついつい、後回しにされてしまう課題です。だって、現状は回っているのですから。

セキュリティ対策もそうですが、「リスク=まだ発生していないが、発生したときの影響が大きい事柄」については、おおむね「まだ発生していないから…」という理由で、後回しにされるものです。

しかし、もし今回のコロナ騒動からあえて学ぶべき点があるとすれば、こうしたリスクに対して、企業はいかに準備すべきか、ということだと思います。従業員が長期離脱をするのは、別にコロナだけが原因ではありませんから。

以前の記事「中小企業・中堅企業における情報セキュリティ対策--セキュリティ対策とコスト(1)」で私は、リスク対策の方針というものを上げました。ここに再掲すると
  • 回避: リスクの発生を避けること
  • 軽減: リスクが発生する可能性を下げること
  • 転嫁: リスクが発生したとき、その損害を第三者に賠償してもらうこと
  • 受容: リスクが発生したとき、その損害を引き受けること
です。

「コロナに罹らないようにしましょう!」と言って、マスクなり消毒なりをするのは「回避」です。しかし、これには限界がありますね。
一方、「コロナに罹ったら事業中止」とするのは「受容」です。しかし、そう簡単に「受容」できるものではありません。
持続化給付金はさしずめ「転嫁」でしょうか。発生した売上低下を政府が補填するものですから。しかしこれも、いつまでも支給されるものではありません。

さて、先の歯医者さんの例では、個人医院であり、歯医者は1人しかいなかったので、長期の休業をせざるを得ませんでした。しかし、もしそこに歯医者さんが2名いらっしゃれば(立ち入り検査や消毒措置等で多少の休業はあったとしても)もう一人の歯医者さんが歯医者を続けることで、歯科医院としての機能は継続できたはずです。

一般の仕事も同じですね。「この仕事は、Aさんしかできない」となれば、Aさんが長期離脱を余儀なくされたら、その仕事は止まってしまいます。
そして、その仕事が重要であればあるほど、企業活動に大きな制限を与えてしまうことになるわけです。

となれば、答えは自ずから明らかになります。「この仕事は、Aさんしかできない」という状態を解消すればよいのです。
今はAさんしかできない仕事を、Aさんほどの処理能力でなくても、BさんもCさんもある程度できるようになれば、Aさんがやってた時より仕事量は落ちるかもしれませんが、継続はできるということになります。

これが「標準化」です。
で、これこそは経営者なり管理者が陣頭に立って推進すべきものです。
だって、「私がAさんの仕事を引き受けましょう!」と言ってくれる従業員は少ないだろうし(もし、そうした従業員の方がたくさんいるなら、それは本当に素晴らしい会社です!)、仮にそうした従業員の方がいても、Aさんの仕事を覚えるためには時間が必要だからです。

習得のための時間や道具立てを用意すること、これが経営者や管理者の方が行う仕事です。

また、標準化は全体としての生産性(単位時間或いは投入資源あたりの成果・遂行量)の底上げにもつながります。

ある仕事をAさん、Bさん、Cさんの3人で分担しているとして、Aさん、Cさんの生産性は1,Bさんは業務に詳しくパソコンも得意なので生産性は2としましょう。そうすると全体の生産性は1×1×2=2です。

一方、3人が少しだけ業務に詳しくなり、また少しだけパソコンができるようになり生産性が1から1.3に上がったとすると、1.3×1.3×1.3≒2.2です。

要は、一人の卓越したスキルを持った人に依存することによるリスクが軽減できることに加え、全体としての生産性=これこそが、会社と言う組織で仕事をすることの意味=の向上も期待できるわけです。

RPAを考える前に、地道な仕事の見直しによる標準化

昨今「RPA」という、デスクワークの自動化ITツールが取り上げられています。
(果たして、今も取り上げられているのかは、甚だ疑問ですが)

まあ、この手のツールは実は昔から存在していましたが、昨今の「デジタルトランスフォーメーション」という言葉と相俟って、ネーミングも含め「新装開店」したわけです。「ロボティックプロセスオートメーション」なんて、「いざ!サイバー空間へ!」って感じのネーミングですよね(笑)。

(ちなみに私は「デジタルトランスフォーメーション」という言葉が、いまだに、何を意味しているかわからない、正真正銘のバズワードだと思っていますが(苦笑)→参考:「銀の弾丸はない、「メシア」は来ない」)。

しかし…確かに面倒な事務作業をITに任せたい気持ちはわかりますが、そもそもITを使うということは、その「面倒な」手順をITに教え込む必要がある訳です。道具を入れたらハイ終了、という訳にはいきません。そして私が何度も言うように"お守り"、つまりそのツールの保守運用も必要です。
(で、RPAはお値段もさることながら、この敷居が高い…だから「なんだ、使えないじゃないか!」とか言われるのです)

また、その昔、そして今もですが「EXCELレガシー問題」というのがあります。

EXCELは使いやすくて、ちょっとスキルのある人がマクロ(VBA)を使って事務作業を自動化するには格好のツールなんですが、これが企業内で増えすぎたために、このリンクにもあるように
担当者レベルで作成された数式やマクロが再現不可能なブラックボックスとなったり、あるセルで参照されていたスプレッドシートが削除されたことで数式がエラーとなったりといった、管理上のリスクを抱えやすい。こうした状態がいわゆるExcelレガシーとして問題されている。
ということになり困っているという問題です。特にこうしたツールを間違ってはいけない、重要なところで使っている場合には。

「ブラックボックス」というのは文字通り何をやっているのか分からない状態で、誰も手を出せない、必要なのかどうなのかさえ分からない状態です。
そうなると、当然、これはRPAにも言えるわけです。なんせ「面倒な作業」をその中に埋め込んでるわけですから、担当者がいなくなったら、誰も手を出せない、分からないとなるのは、まあ必然ですね。

何より、この「効率化」の方法は、先に私が申し上げた「一人の人の力量に頼る」方法と同じです。その人が何らかの理由でダウンしたら仕事が止まってしまうように、文字通りRPAがダウン(故障や不具合など)したら、何もできなくなる。ですので、この方向性で「生産性」を上げるのは、リスクを伴う訳です。

もちろん、こうした「制約やリスク」を理解した上で、RPAなりEXCELマクロを使う分には問題ありません。これは理に適った道具としてのITの使い方です。ただ、今回、目的とする「誰かが離脱して、仕事が回らなくなる」ための抜本的対策ではない、と申し上げたいだけです。要は、
「目的と手段をはき違えてはいけない」
ということです。

さて、その標準化ですが、どう取り組むべきか?これは、この記事だけで語ることは難しいですが、ポイントだけお伝えすると、
  1. まずは仕事を「見える化」する→業務一覧の作成
  2. 業務一覧から、定型化できる業務は定型化する→ここではじめて「手段としての自動化・IT導入」も視野に入れる
  3. 定型化できない業務は、情報共有の仕組みをつくりノウハウを共有する→ここではじめて「知識共有としてのIT導入」も視野に入れる
ということになります。

詳細は、標準化すべき仕事の内容で変わってきますが、上記ポイントはどの業務でも共通です。

もし、このコロナ騒動をきっかけに「標準化に取り組みたい」というお客さまがいらっしゃいましたら、是非ともご協力させて下さい、という自社宣伝をさせて頂きます(笑)。

では、次回もよろしくお願い申し上げます。