長かったゴールデンウィークも、もうすぐ終わりですね。皆様はいかがお過ごしのことでしょうか。
前回は[課題1]マニュアルの作成に対する、グループウェアの機能を使った解決策を検討しました。今回は[課題2]の経理担当者-営業担当者間で記録を残すことについてです。
この課題は、そもそもは、お客様の入金状況に関し、お客様を担当している営業が迅速に対応するためでした。
しかし、そもそも、
- なぜ、営業担当者がお客様に確認しなければならないのか
- 経理担当者が連絡すればよいのではないか
- 更に言うと、入金が確認できない時点で、人手を介さず自動的に確認ができないか
この考え方は、業務改善を考えるうえで
「仕事を簡略化できないか」
「その仕事を機械やITを使って省力化できないか」
という観点があれば、自ずと出てくるアイデアですね。そして、業務改善を考える上では、このような観点をもって検討することが本当に必要です。
結論から言えば、最後の「人手を介さず自動的に確認をする」ことは可能です。例えば、入金確認ができないお客様に対し、システムが自動的に、入金確認のメールをお客様に送る、などです。
グループウェアの装備された機能にもよりますが、グループウェアの「ワークフロー機能」と「電子メール機能」を組み合わせることで、上記を達成することは可能です。
たとえば、私が導入支援をしているOffice365ではFlowという自動化機能を使って、実現することが可能です。
しかし、ここでもまた「会社の方針」を考慮することが必要です。
この会社では、ある意味で入金の督促にもなる確認を、定型文のメールでシステムが自動的にお客様に送信するのは「お客様に対して、失礼に当たる」と考えました。
これは自社とお客様との取引内容や深さなど、総合的な観点で判断した結果でした。
ですから「自動化を適用することがすべて善である」とは、必ずしも言えないのです。
この会社は、お客様のことを理解していない経理担当者に入金確認をさせることも難しいと判断しました。結果、営業担当者が迅速に確認をすることを選択したのです。
さて、[課題2]で求められる要求としては、
- どのお客様の、どの/いつの売り上げかを明確にする
- そのお客様の営業担当は誰かを明確にする
- 確認と、もし、入金漏れがあった場合に入金して頂く期日を設定する
- 営業担当者が、確認を忘れないようにする
これに加えて、もう一つ要求がありました。それは「営業担当者が外出先でも、経理担当者からの連絡を受けることができるようにする」という要求です。
営業担当は仕事の性格上、社外にいる時間が多いです。
これまで、この会社では、営業担当者への確認依頼は経理担当者が主に電話で連絡していました。でも、わざわざ電話する行為は、経理担当者にとって手間ですよね。
また、営業が商談中だったりしたら留守電にメッセージを残さないといけません。でも、営業担当者は往々にしてお客様を優先することが多く、その留守電を聞かなかったりして、失念や遅れが生じていたのです。
従って、営業担当者に電話ではなく、リアルタイムで確認すべき情報を連携できることが必要になりました。
ここで前述した自動化の登場です。社内間であれば、確認を自動化することも失礼ではありません。
そこで、この会社ではグループウェアの機能を使って、以下のようにすることに決めました。
- システムにお客様の営業担当者は誰か、を事前に登録しておく
- 入金が確認できないお客様に対し、経理担当者はシステムにそのお客様の情報=どの/いつの売り上げかと確認期日を登録する
- システムは経理担当者が登録した時点で、自動的にお客様の営業担当者のスケジュールリストに確認すべき情報を登録するとともに、営業担当者にもメールを送る
- その情報は、営業担当者のスマホで見ることができる
- システムは、期日が迫っているものについては、スケジュールリストのリマインダ機能により、営業担当者に知らせる
- 営業担当者は、お客様の入金確認が取れた時点で、対象のリストを完了にする
- 完了にした時点で、経理担当者にもその旨を自動的に通知する
昔は、このようなシステムは専用のもの、あるいは作りこんだものが多かったのですが、現在のグループウェアは進化しています。
その進化のひとつに、それまで単体で機能していた「ワークフロー機能」「電子メール機能」「スケジュール管理機能」をつなげる役割を果たす機能があります。先のOffice365の例で言えば、FlowやPowerAppsと呼ばれる「簡易組み立て」機能です。
これらを活用することによって、比較的容易に実現することが可能になりました。
まとめると、この事例でのポイントは
- 業務を考える上では、自動化を適用するポイントをしっかり検討する
- ITを考える上では、スマホ/タブレットへの対応や、機能をつなぎ合わせる「簡易組み立て機能」を有効に活用する
次回は、コミュニケーション活性化や情報共有の道具であるグループウェアの昨今の状況と、それを選定する基準について、考えてみたいと思います。
それでは、次回もよろしくお願い申し上げます。